横濱ジャズプロムナード2010




横濱 JAZZ PROMENADE 2009 | スペシャル対談

jazzpro2009

・実施概要
・ホールライブ
・街角ライブ
・ジャズクラブ
・特別展示・特別企画
・コンペティション&イベント
・スペシャル対談



NEXT VOYAGEはキッカケづくり。

今田 勝・高橋慎一・船本由佳

進行 柴田浩一 横濱JAZZプロムナード/アーティスティック・ディレクター

今田:勝(ジャズピアニスト)
明治大学卒業後、全国各地のコンサート、フェスティバル等で精力的な活動を続け、長い間トップミュージシャンとして活躍。現在、ピアノトリオを中心に、スタンダード・ジャズやオリジナル曲で演奏活動している。1994年ジャズ界で個人を対象にした最高栄誉の「南里文雄賞」を受賞。2008年、日比谷公会堂で毎年開催される「サマージャズ・フェスティバル」に40年間連続出演し、ジャズの振興と向上に尽力した功績として(社)日本音楽家協会より表彰される。


高橋慎一(フォトグラファー/音楽ライター)
東京都出身。各地のライブハウス、フェスティヴァルをカメラ片手に取材で駆け回っている。また、キューバ音楽のレーベル『Kamita Label』を主宰。今回プロムナードに出演するセサル・ロペス(sax)を筆頭に、現地の才能ある音楽家の音源を精力的にリリースしている。


船本:由佳(キャスター)
大阪出身。同志社大学卒業。NHK広島・大阪を経て、2008年春からNHK横浜放送局。主な出演番組はTVでは「こんにちは、いっと6けん」、ラジオ(FM・横浜81.9MHz・小田原85.3MHz・平日18:00~19:00)では「よこはまサウンド♪シャトル」水曜日のジャズ番組などを担当。大学時代は軽音楽サークルに所属。


柴田:浩一(横濱JAZZプロムナード・プロデューサー)
横浜市出身。現在、NHK横浜のFM「よこはまサウンド♪シャトル」の水曜日に出演中。広範囲でユニークなジャズ論を展開し、季刊誌「横濱」にも連載中。公共機関での講演多数。近著に「デューク・エリントン」(愛育社)




横浜は今年、開港150周年という節目の年。JAZZプロムナードのキャッチ・フレーズもNext Voyage(次なる出航)。そこで、さらに魅力ある"ジャズの祭典"を目指すために、3人の方に集っていただきお話を伺った。


心技体。


柴田:今田さんにはミュージシャンの立場として、出席いただいたわけですが、17年前のスタートの時と比べると、ずいぶんと変わったでしょうね。
今田:そうですね、まず大きくなって発展したことはいいことだと思います。ジャズ・フェスティヴァルの形としては若い人が出てきているので、若いジャズという感じを受けますし勉強にもなりますね。 ただ、僕たちの年代がジャズを始めたころは、理論なんてなくて自分たちの解釈でやったもんだから、一人ひとりが強力な個性をもっていた。今はそれが少ないように思うね。
柴田:そうですね、でもテクニックはよくなりましたね。素晴らしい。
今田:もう素晴らしい!今の人は子供のころから自然にリズム聴いてるから、いいビートしててリズム感がありますね。テクニックにしたって小さい頃からクラシックをやって、ジャズに入ってきた人が多いからものすごく恵まれてる。ただし、うらやましいなと思う反面、僕たちが始めたころの気持の問題というのがね、音がどうのこうのじゃなくてね。
柴田:あー、それ以前の問題ということですね。
今田:今の若い人たちが、それに気づいてくれると、もっと良くなるんじゃないかなと思うところあるね。 先ばかり行って後ろを振り返らないし、勉強してるんだろうけど表面的にみえる人もいますね。僕たちが何だか解からないけどやってみて、煮詰めて煮つめて出てきた音というのが、生き残ってるんじゃないかなって。
柴田:僕なんか選ぶ立場からすると音楽を聴くと解かりますよ。凄い演奏をする人がいる、でも予定調和なのでスリリングじゃない。これは今田さんがいったことと同じでしょ。心がないんだよね。ただ音を叩き出してるって感じ。
柴田:そう、うまいんだよ。ホントに。日本人プレイヤーは世界的にみても素晴らしいですよ。ただ日本人的な良さっていうのが少ないんだよ。聴いてすぐ日本人だって判るようなのがないんだね。 まあ、これは年取らなけりゃ駄目なのかもしれないな。
柴田:高橋さん、あなたは各地のジャズ・フェスティヴァルを取材していて、いいところも、悪いところも見てきた立場で出席いただきましたが、ライター兼カメラマンとして、今の話はどう思いますか。
高橋:今田さんが仰ったと同じことをジャズ専門誌の編集者にぶつけたんです。そしたらその編集者は「高橋さん、僕もそう思うんですけどね、彼らは1日7時間の練習をしなくてはならないのです。僕や高橋さんのように本を読んだり、映画を見る時間はないんですよ、アスリートと同じでフィジカル(肉体面)を鍛えなきゃいけないから、人間を磨く時間は彼らには許されないんです」と編集者にいわれて、うん、なるほど確かにそれも一理あるかなと、ということで今、自分の意見が持てなくなっているような状態で……。
柴田:それって、間違ってない?(一同ざわめき) イチロー選手じゃないんだから、あの人の求道精神は凄いけど、そこまでやんなくてもいいんじゃないの。音楽なんて、ある面、いいかげんなとこから出てくることだってあるんだもん。
高橋:いや、僕、半分、洗脳されつつあって…..。
柴田:なんだよ、それって。
今田:小さい時から、それをやってたとしたら、音楽のための音楽じゃない、そうじゃないでしょ。人間生きているんだから、その人の過程が音に現われるには、音楽だけやってたら出てこないんだよね。
柴田:船本さん、あなたとはNHK-FMの番組でジャズ入門講座の相手役、ということは初心者役なんですが、あなたも小さいころ、習ってましたよね。
船本:そうですね。私はバレエなんですが、県民ホールで森下洋子さんの公演があって同じような話を聞きました。バレエは筋肉が必要、体造りが必要なんですが、若い時には素晴らしいテクニックが魅力になる。だんだん年を重ねる毎に演技の豊かさとか、情緒の表現が求められる。これは歳をとらないと出せない。年をとると残念ながら筋肉も衰えるけれど、観客に与える感動というのは深くなる。ミュージシャンも…。
柴田:同じだよね。
今田:音楽家も運動したほうがいいんで、僕はやり過ぎて身体壊したこともあったけど、運動やってて頑張りっていうのかな、息も絶え絶えになっても根性で、もうひと踏ん張りみたいなこと音楽でもやってきたんだよね。
船本:粘りとか、そこで…..。
今田:そこで生まれてきたものもあるよ。昔、ピット・インで日野皓正君とか山下洋輔君たちも演(や)っていたけど、アドリブを納得するまでやっていいというやつをね。ホントにね、1時間近く一人でだよ、もう煮詰まってどうしようもない(笑)。でもね、今まで何十年と音楽やって、2回ぐらいしかないけど陶酔するっていうのかな、そんな境地になったね。
柴田:それには、ある程度の体力が必要になってくると。
今田:そうそう、そう。格闘技と同じだよね。(笑)
船本:肉体と精神性と両方を鍛えないと。
今田:だから音楽家はやってますよ、運動を。段持ちの人もいるしね、隠れてやってるんですよ、じゃなきゃ持たない。
高橋:これ大変だと思うんですよね、でも両方ですよね。
船本:ここまで、心の面も忘れちゃいけないって話でしたよね。
柴田:だから、映画を観たり本を読んだりすることは、非常に重要なことであって…..。
船本:そうですよね。
今田:そう、物凄い重要だよ。

キッカケ作り。

船本:あの、今までの話はミュージシャン側の話だったんですが、今田さんが仰ったことは観る側も同じかなって思うんです。つまり今の時代は情報過多で、自分で何かを求めて音源を買うとか、このコンサートにどうしても行って体験したいということが、少なくなってきているんではないかなと。で、音源が苦労しなければ手に入らない、コンサートにも容易に行けないという時代の方が、ジャズに対する求める力がとても強かったんだろうなって思います。 今、柴田さんと一緒にNHK-FMで初心者のジャズ講座の形で番組をやらせていただいていますが、JAZZプロにこられるお客様が、いかにジャズを楽しめるかということを考えた時に、そこで私が気づいたことですが、自分からジャズを求めればどんどん楽しくなっていくんですよ。だから、そこをクリアーしないと「ワーッ、この街おもしろい」って思っても有料会場に足を運ぶかというと、自分の知ってるミュージシャンがいるとか何かないと、どう観ていいんだか解からない。
柴田:いやーあ、素晴らしい生徒ですね。(笑) 確かにきっかけ作りが必要なんだけど、それにはどうする。
今田:そうね、ジャズ・クラブだって普段あまりお客さんこないもんね。入りたいけどどうやって入ったらいいのか判らない。これは軽く入れるような仕組みを考えてもらうといいね。
船本:パソコンでは家にいながらいろいろ調べることが出来て、それはそれでジャズを知る手段としてはいいのですが、やはりライブを聴いてもらったほうがいいですね。
今田:うん、うん、それのがいいね。
船本:その辺りの乗り越え方というのが……。
柴田:ウーン、JAZZプロも、そこがまだまだかな。
船本:私はジャズ初心者ツアーみたいなものがあったらいいと思うんですよ。あのJAZZプロのタイム・テーブルを見ても、初心者には読み解くのは難しいんです。目当ての人がいるとか、知り合いの名前があるとか、又はジャズのこのスタイルが好きだとか、明確に自分の中にある人は自分でプログラミングができるんですよ、だからとってもいい。でもよく判らない人にとっては、これだけの情報量を前にして途方に暮れちゃうじゃないかなって。
今田:そうね、だから僕たちがやってるようなジャズ講座みたいなものが必要なんだよ。ジャズってどうやって生まれて、どうやって来たか、この時代にはこういう人がいましたよ、なんて話をするとじゃあこの時代を聴いてみるかとか、ライブで聴いてみるかというふうになるんだよね。
船本:そうですよね、そう何かひとつ突破口があればいいんですよね。だから初心者向けのジャズ講座があったらいいなって、ア、ハハハ。
柴田:なるほどね、参考になりますね。

ジャズ・ガイド。

船本:昨年、わたしが初めてJAZZプロムナードに行って驚いたのは、ホントに街に人が溢れていて、みんながプログラム持っていて、次の会場へ行くために自転車を使ったり走ったりしていました。みんながこの2日間を楽しもうとしているのをみて、ホントに素晴らしいなって。
今田:最近、特にそういうファンの人、増えたよね。昔はそうじゃなかったんだよね。「遠いや、止めとこう」ってね、場所が離れていたこともあるけどそういうファンもいた。ホントのファンじゃないかもしれないけどね。(笑)
柴田:でもね今田さん、本来、我々が意図したことは周りの景色も楽しみながら、歴史的建造物も会場なんだから、会場から会場へ、ゆっくり散歩道として歩いてもらいたい、そういった意味合いでプロムナードってつけられたんです。ところが最近は駈けずり廻るようになってしまった。(笑)
今田:その意味が解かってない人が多いよ。
船本:あー、そうなのかもしれない。会場と会場の間を歩きながらジャズのお話が聞けるツアーなんてあったらいいなって思います。話す人はミュージシャンでもいいし、横浜のジャズ好きでもいいと思うんです。そうすると横浜の街も楽しめ音楽も楽しめて、来年も来ようと思うんじゃないかなって。
今田:観光バスを仕立ててバスの中で説明をして、じゃあ今度はデキシーを聴きに行きましょうなんてね。
船本:バスまでは考えてなかったんですが、(笑)解説付だと嬉しいなって思うんです。このミュージシャンはこういう人でこんなところが聴きどころです、といってくれれば楽しみですよね。そこで、グッと会場に行きたくなったりとか…….。
高橋:日本人って勉強が好きだから、そういった意味では受けると思うんですよ、生涯学習なんて大人気じゃないですか。みなさん言いますね、ジャズを勉強したいって。勉強したいっていうのは、敷居が高いっていうかというと、それ越えたいって思う人が結構日本人に多いんじゃないかなって思うんですよ。
船本:そうですよね、美術館に行っても作品と作品の間はイアホン・ガイドを利用するんです。より理解したいと思うからですよね。
柴田:県立博物館にはボランティア・スタッフがいて、説明に来るよね。そうか…..、そこまでは考えていなかったなあ。
船本:横浜にはジャズ好きで、話したくてしかたがないような方っているんじゃないでしょうか。この2日間、初心者向けガイドしてくださいって頼んだら喜んでしてくれる方が。
高橋:そうですよね。
今田:腕章かなんかつけてね、「ジャズ・ガイド」なんてね。おもしろいかもしれないね。(笑)
柴田:高橋さん、ジャズ・フェスでそんなことやってる所ってありますか。
高橋:ないですね。最近、不況の影響でフェスティヴァルがどんどん無くなっているじゃないですか、元気がいいのはロック・フェスとかJポップのフェスティヴァルばっかりでプロムナードに匹敵するような大型のジャズ・フェスティヴァルがなくなっているんですね。だからプロムナードのようにたくさんのミュージシャンが集って、地域と一丸となったものというのは比較しようにもないんですね。
柴田:大きくなくてもいいんですが、これは素晴らしい、あるいはこの点がいいなというのはありますか。
高橋:それは横濱JAZZプロムナードですね、やっぱり。(笑)
柴田:そういわれても全然嬉しくないなあ。
高橋:船本さんが、仰ったような工夫がみられないフェスティヴァルが多いんじゃないかなと、むしろプロムナードがそういうことをやってるように思えます。
柴田:そう、それは、まず誇れるのがボランティア・スタッフのみなさん、我々はジャズ・クルーさんと呼んでいますが、この人たちがとってもいいのね。ホスピタリティー(もてなし)の面でミュージシャンがみんなほめてくれるし、お客さんだってそう。これが得をしているね。それから去年、あるホールで入りきれないという問題があった、それにすぐ対応して今年は入換制にするとかね。本来はそんなの嫌で、もっと自由であってフラフラって歩いて来て、会場へ入って、おもしろくなければ次の会場へ行く。それが入換制となれば並ばなくちゃいけない。そういう規制を設けたくない自由がいいよね。でも苦情が出ることに関して、知らん顔するというのは何も考えていないのと同じじゃない。だから今年は変えてみるとかね。それから時間を一斉に始めていたものを、会場毎に変えてみるとか、常に工夫はしますね。
高橋:柴田さんが自由という言葉を強調されてるんですが、それが一番大事なことなんじゃないかなって。例えばロックとか、Jポップのフェスなんかみてると、あまりに一体化してしまって、ちょっと不気味だなって思っちゃうんですね。みんなが一丸となってちょっとファナティック(狂信的)になってるものって、お金も落ちるからそういうものばっかり好まれてしまう。 自由な雰囲気、隣の人はこの音楽を楽しみにしている人、その隣にはキライだという人、そんな空気を排除している傾向がある。だから柴田さん、自由な雰囲気のあるプロムナードは貴重なんです。
柴田:そう、それは沢山の音楽の中から選択できる良さのことだよね。 ミュージシャンも2通りあって気心知れた人と演(や)りたいと言う人と、フェスティヴァルだからたまには違う人と演ってみたいという人がいるじゃないですか、両方必要と考えているんです。自分の音楽を最大限に発揮といえば、レギュラー・グループだろうし、お祭り要素なら普段見られない顔合わせですね。最近はそのスペシャル・ステージを多くしてます。

アイディアあり。

今田:まあ、たまにはメンバー替えてやってみたいとは思うけど、同じメンバーでも雰囲気変われば、今日はどうやってくれるのかって楽しみに来てくれるお客さんもいるからね。まあ違う人と演っても僕がリーダーなんで結局は僕の音楽になっちゃうんだよね。たまにはサイド・メンでやってみたいな。 それから、もう既に売れているミュージシャンを取り上げないで、地味でもいいプレイヤーがいるので、そういう人を取り上げてもらいたいと思うよね。
柴田:そうですね、限られたチラシなどの紙面で、どうやったらたくさんのミュージシャンを紹介出来るかっていうのが課題ですね。
船本:事務局である財団にインターン制度というのがあるのですが、ジャズ好きの学生さんたちに頼んでミュージシャンにインタヴューしてもらう。それをJAZZプロのホーム・ページに載せるっていうのは、どうでしょう。ジャズ研の学生さんならやってくれるのではないでしょうか。
今田:、柴田それ、いいねえ。
船本:ジャズだけじゃない観光スポットを入れたMAPを別に作るっていうのはどうですか。
高橋:漫画っていうのはどうでしょう。漫画家にキャラクターを描いてもらって、会場間をそのキャラクターが歩いて、途中でカフェに寄ったりするとか…..。
船本:ああ、推奨ルートですね。
柴田:漫画はやってないけど、前に推奨ルートというのはやったことあるのね、例えばラテン・ジャズが好きな人はこう廻ったらいいですよ、とかね。でも反響がないから、受けたのかどうかも判らないんだよね。それで消えちゃった。これも再考しましょう。

街全体の魅力。

船本:私の学生時代の友達が横浜に住んでるんですが、JAZZプロの2日間は絶対に予定を入れないというんです。残念ながらチケットは買わないんですよ。この日は街がすごく面白いから歩くんですというんです。去年は山下公園ではワールド・フェスタといって各国の料理が屋台で食べられる催しがあって、赤レンガ倉庫ではオクトーバー・フェストがあって、軽食とビールで街を歩けば、音楽が流れているってすごく楽しいって。
柴田:僕がいうのもおかしいかもしれませんが、昨年、MMホールから出てきてお昼を食べようとしたら、レストランは一杯なの。コンビニで中華饅とビールを買って外でアマチュアの演奏を聴いた。天気は良く気持良くて、こりゃあ有料会場入らなくてもいいかなって。(笑)
今田:デュッセルドルフのフェスティヴァルに出演したんですよ。旧市街だから昔のヨーロッパの雰囲気が残っていていいのね。道路でも公園でもやってるし、港(ライン河)でもやってるし……。
柴田:それは有料会場はないんですか。全部外ですか。
今田:いやお金はとってるんだか、どうだか判んないけど、僕は公園のホールでやりました。まあ日本人のお客さんが多かったけど。
柴田:そうですね、あそこは日本人が多いところだから。でもロケーションがいいというのはいいですね。
今田:雰囲気最高。
柴田:その点、阿佐ヶ谷とか吉祥寺とかと比べれば横浜は断然いいよね。
今田:そう横浜はもっと景色を売らなきゃ。で、デュッセルでは、名が通った人は逆にホールじゃなくてね、道路でやるの。
船本:へー。それはいいですね。
今田:キャンディー・ドルファーとかね、道路でやるの。 だから中ばっかりじゃなく外にいいメンバーを出すといいなって。
高橋:今、今田さんが仰ったこととまったく逆なのが東京ジャズで、ホールAはメジャーな人で外は知名度のない人という、それって逆にしたほうがいいんじゃないかなって。通りすがりの人が、あの人誰か有名なピアニストらしいよで、いいじゃないですか。
今田:そうだね、関内ホールの前だって、名が通った人がやれば、もっと街中が活気づくよね。
高橋:プロムナードだったら出来ると思うんです。度肝を抜くようなことやりましょうよ。
船本:これは大学の時にやったことですが、デモンストレーション演奏といって、2、3曲演奏して30分後にホールで演奏しますよ、ってそこでいいなと思えば入るわけで宣伝効果として使う。
今田:だいたい外は学生だと思ってる人が多いんで、驚くだろうな。そうすればもっと街に溶け込んだフェスティヴァルになるんじゃない。
船本:デモンストレーション演奏だけを渡り歩く人がいたりして(笑)

若人を呼ぶ。

柴田:それ考えてみますね。 先ほどの若い人は技術は素晴らしいけど心がちょっと、という話ですが若い人に出てもらわないと、若いお客さんもこなくなっちゃうという問題もあるんですよ。お客さんも高齢化してきてるし、年齢層を下げる、これがウチの課題です。
高橋:やっぱり、そういうもんなんですか。
柴田:うーん、観客動員数はそろそろ限界なのかなって思いますね。だとすればお客様の満足度を高めて、減らさないようにしなければならない。だから若い聴衆を集めるにはどうしたらいいか、ですね。
高橋:それがまた難問で、あるレコード屋さんのバイヤーがいってたんですが、DJコンピが売れるらしいですが、それを聴いて元を買おうという人はいないって。
船本:はあー、DJ目線は売れても…..。
高橋:そう、元ネタはこっちか、といって買ってくれない。人気DJの推奨するコンピレーションCDと、ジャズ名盤の売れ行きは結びつかないんですね。 出演希望。 ところで柴田さん、やっぱりJAZZプロに出る、出れないってCDの売り上げにも影響があるようなのですが、出演者はどうやって決めているんですか。
柴田:今までは資料を僕に直接送ってきたり、事務局に送ってきたりしたんですが、今年、もう発表しましたが来年度は3月1日から4月末日までの間、事務局にて受け付けることにしました。ただジャズという言葉が広範囲で使われるため、これはニュー・ミュージックかな、フォーク・ソングかなと思われる出演希望者が多いんです。だからこれはウチの雰囲気とはまったく違うとお断りするんですが、本来なら応募する以前にプロムナードに合うか合わないか、一度来てもらって聴いてもらってからの方がいいと思う。
高橋:それはいいお話ですね。あらゆるジャンルに共通することだと思います。相手を調べずに応募するっていうのは、とりあえず送ってしまえっていう考え方なんでしょうね。
柴田:それと出演したいと思う人は自分で出たいという意思表示が重要だと思いますね。出たいといってすべての人が出れないのは残念なんですが。そして活躍をしてたかどうかということも重要な要素です。選出は高桑さんと2人でやってますが、これが人数多くして合議制だったら上手くいかないと思う。たぶん決まらないだろうね。公正じゃないと思う人もいるかもしれないけど、逆にいえば誰がやっても同じといえるかもしれない。
船本:じゃあ3月から4月でエントリー制にするってことは、出演希望者にとってはひとつの道筋が出来たということで、開かれたということですね。
柴田:そうだけど、結構厳しいよね。今でさえ100人のところに150人ぐらい応募してくるんだから50人は出れない。予算も会場も限られてるしね。
今田:出たいという人間を全部いっぺんにステージに上げちゃうっていうのはどう。僕も手伝うからさ
柴田:出演していただくとギャラが発生するし、その点がクリアー出来ればいけるかもしれませんね。 ジャズ・クラブ。
高橋:プロムナードと別に入場料金をとるジャズ・クラブがありますが、その兼ね合いはどうなっているのでしょう。
柴田:ジャズ・クラブに関してはジャズ・クラブ独自のブッキングです。僕らはタッチしてません。ミュージシャンとの付き合いもあるでしょうから。別料金は1軒(1stは無料)だけであとはバッチつけていれば無料なんですが、午後9時以降は別料金になります。
高橋:ジャズ・クラブのお客さんの入りっていいんですか?
今田:凄いよ。もう全然入れないよ。
船本:入れない。だってホールで聴いた人たちが、目当ての人のところに殺到するんですよ。
高橋:じゃあジャズ・クラブさんにとってもプロムナードはいいんですね。
柴田:凄い。ただね、お客さんが多すぎて困るんだって。店の人も動けない。ビール出そうにも身動きとれない。(笑) もう一言。
柴田:最後に言い足りないなという部分がありましたらお願いします。
今田:JAZZプロも発展してる感じはいいんだけど、ちょっと分散し過ぎちゃってる感じがある。まとまり感がなく散らばってるていうか、芯がないように思う。
柴田:そうかなあ、僕はそれでいいと思うんですが….。
今田:なんかぼやけているというか、それだけ大きくなっちゃったんだろうけどね。新しい催物なんか考えたほうがいいんじゃないかって思います。
高橋:僕はとりあえず続けていただきたいなと思います。僕がこの業界に入った時には、いいジャズ・フェスもあったんですが無くなってしまいました。プロムナードが無くなったら大きなジャズ・フェスがなくなってしまうし、どんな形でもいいから継続していただきたいです。
船本:初めて横浜に来られた方へのメッセージとして、まず横浜を楽しんで欲しいなと思います。私は大阪生まれで横浜に来てまだ1年少しですが、横浜という街を体全体で感じられる2日間だなと思います。音楽もそうでしょうが、目に入る建物、港の景色や食べ物もそうです。国際色豊かな街の雰囲気を味わって欲しいと思います。 ここからはラジオでジャズの番組を担当している私の気持ですが、一歩踏みだして、会場に入って好きなミュージシャンを見つけるとか、好きな音楽を見つけるとか、なんでもいいから何かを見つけて欲しい。初心者にとってジャズが好きになるキッカケの2日間になってくれたらいいなと思います。

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